型枠大工の加工の全工程を解説！資格と作業の違いなど | メディア | 埼玉にて型枠大工作業員の求人を経験問わず行っている有限会社滝上建工

建物の強度と精度を左右するコンクリートの型枠。その加工には、図面を読み解く力、CADによる作成スキル、現場での正確な作業といった多くの技術が求められます。特に、型枠大工は建築工事の中でも躯体工事に関わる重要な役割を担っており、一般的な大工とは使用する工具も材料も異なります。

 

実際に型枠工事の流れには、図面から寸法を拾い出す作業やCADデータの入力、パネルや桟木を使った加工、現場での墨出しや建込みなどがあり、そのすべてが精密な加工技術と経験に支えられています。ミスが許されない場面も多く、職人の技術と責任感が試される場面が連続します。

 

この記事では、現在の型枠大工加工の実態や必要な資格、作業工程ごとの違いを、経験豊富なプロの視点から解説します。

型枠大工の加工とは？基礎知識から仕事内容までわかりやすく解説

型枠大工とはどんな職業か？

建築の現場で、コンクリートを流し込むために必要な「型枠」を組み立てる専門職、それが型枠大工です。ビルやマンション、高速道路などあらゆる構造物の骨格を形づくる役割を担っており、建物の品質・安全性を支える極めて重要な仕事です。

 

鉄筋コンクリート造の建築物では、コンクリートを流し込む前に「型」をつくる工程が不可欠です。型枠大工は、その「型」を図面に沿って正確に組み上げることで、寸法通りの建物を形づくります。いわば設計図を立体で具現化する仕事であり、施工の精度がそのまま建築物の品質に直結するため、責任も重大です。

 

作業は工場での加工から現場での建込みまで多岐にわたり、現場においては寸法、水平、垂直をミリ単位で調整する必要があります。そのため、作業には高度な技術と経験が要求されます。さらに、構造設計の知識だけでなく、材料の性質、施工環境、気温、湿度など多様な条件を考慮する総合力が求められます。

 

型枠大工の現場では「CADによる図面作成」「拾い出し作業」「墨出し」「支保工設置」「打設準備」など多くの工程が連動します。近年では加工帳や自動加工機の導入も進み、効率化と精度向上が図られています。

 

型枠大工は、一見「力仕事」と思われがちですが、実は「図面を読む力」「正確な手作業」「現場での段取り力」「他業種との調整力」が必要な非常に繊細で専門性の高い職業です。単なる木工技術者ではなく、建築の躯体を支える「構造のエンジニア」とも言える存在です。

 

働き方も多様化しており、企業に所属する正社員だけでなく、一人親方として独立する職人も増えています。独立後は元請業者と直接契約し、加工や建込み作業を請け負うケースもあり、高い技術と信用があれば年収700万円以上を目指すことも可能です。

 

型枠加工の意味と一般大工との違い

型枠加工とは、コンクリート建築においてコンクリートを流し込むための「型」をあらかじめ設計通りに加工し、現場での建込みに備える工程です。図面に基づいた部材の寸法取りや、合板やコンパネの切断、桟木の加工など、精度と効率が求められる作業群であり、型枠工事の要とも言える分野です。

 

一方、一般的に「大工」と言われる職業は、主に木造住宅の構造材や内装材の施工を担当します。使用する材料も異なり、型枠大工が扱うのはコンパネ・合板・桟木・単管などであり、現場によっては鉄パネルや樹脂パネルを使用することもあります。加えて、大工は木造軸組工法やツーバイフォーに精通し、住宅の間取りや内装を形にする技術が求められます。

 

比較項目	型枠大工	一般大工
対象建物	RC造（鉄筋コンクリート造）の建築物	木造住宅、アパートなど
使用材料	合板、コンパネ、桟木、単管、型枠パネル	柱、梁、フローリング、壁材など
主要作業	型枠の加工・建込み・解体	木材の加工・組立、内装造作
必要スキル	CAD図面の理解、拾い出し、精密寸法管理	木工技術、現場管理、住宅設計の知識
専門資格	型枠施工技能士、型枠支保工主任者など	建築大工技能士、建築士（任意）

型枠大工の加工の流れとは？拾い出しから完成までの全工程

拾い出しから原寸までの図面読み取り作業

型枠工事のスタートを切る工程が「拾い出し」です。拾い出しとは、建築物の構造図や施工図、型枠図などから必要な型枠部材や数量、形状、寸法などを抽出し、材料の手配や加工に向けて準備を整える作業です。CADやBIMが導入されている現場では、図面データの読み解き力とコンピュータ操作スキルが求められ、建物の完成度に直結する非常に重要な業務といえます。

 

拾い出しは主に以下の作業を含みます。

 

1. 図面全体の読み取りと部位の確認
2. 材料の種類（コンパネ、桟木、パネル等）の確認
3. 寸法の確定（コンクリート打設厚・構造部寸法など）
4. 加工帳の作成と必要数の集計
5. 材料別の加工内容とスケジュールの設定

 

図面読み取りには「建物の構造理解」が不可欠です。特に鉄筋コンクリート造（RC造）では、梁、柱、壁、スラブごとに異なる寸法や仕様が存在し、それを正確に把握して拾い出す必要があります。たとえば、スラブの厚さが場所によって変わる場合や、梁の両端で異なるスパンを持つ構造など、設計図を読み解けなければ材料の手配ミスや現場での手直しが頻発します。

 

図面名称	役割説明
構造図	柱・梁・壁・スラブなどの位置と寸法を明示
型枠図	型枠の詳細形状・寸法・打設方向を示す
平面詳細図	取り合い部や特殊な収まりの形状を確認
断面図	隠れた部分の高さや内部構造を視覚的に確認
加工帳	材料の寸法、数、種類を一覧で管理する帳票

 

拾い出しが正確に行われない場合、施工現場で必要な型枠部材が足りなかったり、寸法違いによって現場加工が増えたりするなど、生産性の大きな低下を招きます。また、型枠加工会社ではこの情報を基に作業手順や加工図の作成、工場加工の指示を出します。

 

加工帳の作成もこの工程で完了させる必要があり、具体的には「部材の種類」「寸法」「数量」「用途（柱・梁・壁など）」「搬入予定日」などの情報を明確に記載します。現在では専用のソフトを使用して、拾い出しから加工帳作成までを一括管理するシステム化も進んでいます。

 

墨出し・建込みで正確性を追求する職人技

拾い出しと加工を終えた型枠材が現場に搬入されると、次は「墨出し」の工程に入ります。墨出しとは、実際の施工現場において図面上の寸法を基に、建物の柱・梁・壁・スラブなどの位置を地面や構造体にマーキングする作業です。この墨出しが正確でなければ、後続の建込み作業、コンクリート打設にまで悪影響が及ぶため、非常に重要かつ繊細な作業です。

 

墨出しの際に職人が確認するポイントには、以下のようなものがあります。

 

• 建物の基準線（通り芯）に対する型枠の位置ズレ
• 寸法精度（ミリ単位の確認）
• 高さ基準の確認と設定（レベル確認）
• 各部位の打設順序と型枠の取り合い確認

 

墨出し作業にはレーザー墨出し器やレベル測量機器が使用されるほか、細かい場所ではチョークラインや墨壺などの手道具も活用されます。特に近年ではレーザー機器による誤差±1mm以内の高精度な施工が一般化しており、若手職人でも安定した精度を実現できるようになっています。

 

建込み作業では、墨出しで引いたラインに沿って型枠パネルやコンパネを設置し、桟木や支保工で固定していきます。この時、型枠の垂直度・水平度・直角の確保が非常に重要です。これらが狂うと、コンクリート打設後に建物の仕上がりにゆがみが生じ、最悪の場合は解体してやり直す必要が生じるため、建込み作業は精密な技術と丁寧な段取りが求められます。

 

また、現場では「ダメ周り」と呼ばれる、型枠の隙間や段差、打設時の漏れの原因となる箇所の補修確認も並行して行われます。これを怠ると仕上がり不良やジャンカ（コンクリートのす）が発生し、構造耐力や美観に重大な問題を引き起こすことがあります。

 

建込みの際にチェックされる主な品質項目を以下にまとめます。

 

チェック項目	内容説明
水平・垂直精度	墨出しと型枠のズレがないか、水準器で確認
隙間の有無	コンパネや桟木のつなぎ目に隙間や段差がないか確認
締め付け強度	型枠固定用金物やサポートが緩んでいないか確認
支保工の安定性	躯体に対する支保工の数とバランス、沈下・変形のリスク確認

 

精度だけでなく、安全面にも細心の注意が必要です。建込み作業は高所や狭小空間での作業が多く、落下物や転落のリスクも伴うため、安全帯の着用、作業手順書の共有、作業前のKY（危険予知）活動が徹底されます。

 

正確な墨出しと建込みによって、ようやくコンクリート打設に進むことができるため、この一連の工程は「施工品質の要」といっても過言ではありません。

 

コンクリート打設から解体までの一連工程

型枠工事における仕上げの大きな山場が「コンクリート打設」と「型枠解体」です。これらの工程は、施工全体の品質に直結するため、施工手順やタイミング、安全管理を含めて非常に高い精度が求められます。ミスがあれば建物全体の構造的安全性に関わるため、型枠大工をはじめ、現場全体が一体となって取り組む重要なフェーズです。

 

コンクリート打設は、すでに建込みが完了した型枠の中に生コンを流し込み、建物の躯体を形成していく作業です。現場においては「バイブレーター」や「スランプコーン」などの専用道具を使用し、気泡の除去や均一な密度を確保する作業も同時に行います。ここでのミスは、後にジャンカや豆板などの打設不良を引き起こす原因となります。

 

以下は、打設から解体までの一連の流れと各ポイントを表形式で整理したものです。

 

工程	内容
コンクリート打設	ミキサー車とポンプ車で打ち込み。バイブレーターで密度を確保
養生（硬化促進）	湿潤状態を保ちつつ、養生マットや散水で硬化促進。打設直後の温度管理が要
既定時間経過（型枠解体）	柱・梁・スラブ等、構造ごとに定められた期間を経て解体開始
型枠解体	コンパネ・パネル等を順に外し、躯体を露出。傷・欠けなどの確認を実施
清掃・片付け	残材の撤去・再利用材料の保管、現場整備を行い次工程へ引き渡し

型枠大工の加工の現場で求められるスキルと資格一覧

型枠加工で役立つ資格一覧と取得方法

型枠大工に関連する主要資格は、以下の通りです。

 

資格名	役割・目的	主な受験資格	難易度・特徴
型枠施工技能士（1級・2級）	型枠工事に必要な技能の国家資格。施工精度と技術力の証明	実務経験（1級は7年、2級は2年程度）	学科・実技あり。1級は施工管理経験が必要
登録型枠基幹技能者	職長や班長としての能力を証明する。現場の安全・品質・工程管理	型枠施工技能士合格者＋職長経験	講習とレポート提出、試験後の登録制
支保工の組立て等作業主任者	型枠支保工の組立現場での主任者としての安全責任を担う資格	3年以上の実務経験	厚生労働省所管。法定資格であり必須
建築施工管理技士（2級）	型枠を含む建築現場全体の管理を行う技術者の国家資格	実務経験2～3年以上	複数分野に対応。書類審査・筆記試験あり
玉掛け技能講習	型枠パネルなど重量物を安全に吊り上げるための必須技能講習	年齢制限のみ（18歳以上）	講習受講で取得可能

 

これらの資格は、現場での信頼性・安全性・指導力を裏付ける証明書となり、昇進・昇給・独立にも大きく影響します。

 

資格取得の流れは次の通りです。

 

1. 所定の実務経験を積む（多くの資格で2〜7年程度）
2. 受験申請・講習申込み
3. 学科・実技試験、もしくは講習受講
4. 合格・修了後、登録手続き（基幹技能者など）

 

これらの資格は、ただの証明ではなく「安全」「品質」「工程」を統合的に担う力を養成・証明するための制度です。実際に資格保有者は未取得者よりも施工単価や責任範囲が広く設定され、将来的な独立開業にも繋がります。

 

未経験者が成長できる研修制度とキャリア例

型枠加工の現場では、未経験者であっても段階的にスキルを習得できる環境が整いつつあります。従来は「親方から直接学ぶ」職人的なスタイルが主流でしたが、近年では「技能研修制度」や「建設教育訓練プログラム」が充実しており、ゼロからでもキャリアを積み上げることが可能です。

 

未経験者が成長していく一般的なプロセスは以下のようになります。

 

1. 建設会社や型枠専門工事業者に入社
2. 現場見学や軽作業からスタート（資材搬入、清掃、養生など）
3. 墨出し・建込み補助などを通じて現場に慣れる
4. 桟木加工、合板カット、釘打ちなどを経験
5. 資格取得（玉掛け・支保工主任者など）を経て主力職人へ昇格
6. 職長経験を積み、技能士や基幹技能者を目指す
7. 独立・一人親方として元請と契約するキャリアも選択可能

まとめ

型枠大工の加工業務は、単なる木工技術ではなく、建築物の骨格を支える精密な工事です。特に躯体を形成するコンクリートの型枠は、図面の正確な読み取りと加工技術、そして職人の経験値が大きく成果を左右します。図面を基にしたCADによる寸法の拾い出しから、桟木やコンパネの加工、現場での墨出しや建込み作業、さらにはコンクリート打設後の解体工程に至るまで、一連の流れは高い精度と専門知識が要求される領域です。

 

型枠加工の現場では、パネルの形状調整や材料の選定、現場ごとに異なるシステムの把握といった業務も発生します。これらに対応できる職人には、型枠基幹技能者や支保工主任者、1級技能士といった国家資格の取得が推奨されています。各資格には実務経験や講習の受講などが必要で、取得難易度も高めですが、その分、現場での評価や待遇面でも大きな差が出ます。

 

未経験からでもこの職種に挑戦することは可能で、多くの現場では新人育成のための研修制度やOJTが整備されています。例えば、初年度は図面の読み方や工具の使い方を重点的に学び、2年目以降は墨出しや加工に携わりながら、資格取得に向けた実務経験を積む流れが一般的です。

 

型枠大工の加工における知識とスキルは、一朝一夕で身につくものではありませんが、着実に学び、手を動かすことで高収入かつ専門性の高い仕事に繋がります。もし「図面を読み解けるようになりたい」「建築の基礎から学びたい」と考えているなら、今が学び始めのタイミングです。未来の現場を支える技術者としての一歩を、ここから踏み出してみませんか。

よくある質問

Q. 型枠大工と大工の違いは具体的にどこですか？
A. 一般的な大工は内装や仕上げ工事を担当することが多いのに対し、型枠大工は建物の構造体である躯体を形成するためのコンクリート用型枠を作成します。作業内容も異なり、型枠大工は墨出しや寸法の拾い出し、CAD図面の読解、打設・解体といった特殊な工程を含むため、専門性が非常に高いです。また使用する道具も桟木やパネル、支保工など型枠特有の材料を使う点が特徴です。

 

Q. 型枠大工の加工にはどのような資格が必要ですか？
A. 現場で高精度な加工を行うには、型枠基幹技能者や1級型枠施工技能士といった資格が非常に有利です。支保工の主任技術者には専用の講習が義務付けられており、加工現場では安全と品質を保証するためにこれらの資格保有者が求められます。資格取得には実務経験が2〜5年必要で、国家試験や技術講習を経て取得が可能です。建築業界でのキャリアアップにも直結する重要な要素といえます。

 

Q. 未経験から型枠大工の加工を学ぶにはどうすればいいですか？
A. 未経験からでも型枠大工として加工技術を習得することは可能です。多くの建設会社では入社後に図面の読み方、材料の扱い方、CAD操作の基礎を含めた研修制度が用意されています。初年度は拾い出しや簡単な組立作業からスタートし、2年目以降に墨出しや建込み、加工図面の作成といった高度な技術に進むのが一般的な流れです。3〜5年で職長候補に昇格する事例もあり、実力とやる気次第でキャリアアップが可能です。

会社概要

会社名・・・有限会社滝上建工

所在地・・・〒349-0223 埼玉県白岡市下野田941-19

電話番号・・・0480-91-7711